HMG-KO-002GUIDE

3分スピーチの本番前 — 構成と作り方

朝礼の3分スピーチの当番が回ってきた。ネタは決めたが、書いてみると長いのか短いのか分からず、当日は早口で詰め込んでしまいそうで不安が残っている。

3分スピーチの本番前 — 構成と作り方で本番前にやる準備と、やらないことを分けた図
本番前にやる準備と、やらないことを先に分けるための図です。

楽屋の短答

今夜整える

3分スピーチは、結論一つに理由か具体例を二つ、結びの一文で組む。最初の一手は、書いた原稿を時間を計って音読すること。3分で話せる量は人によって違うため、文字数の換算表より自分の60秒で測るほうが確かである。超えた分は速く読んで詰め込まず、本体から削って結びの一文を守る。削った分は次の当番の種になる。

本番前の最初の一手本番が近くても、今夜のうちに一つだけ整えられる内容です。

やらないこと3分に入らない内容を早口で詰め込まない(削って、残したものをゆっくり話す)

たどり着く状態
計って音読した3分の原稿と、当日直前に見る冒頭・結びの一文が手元にある状態
準備の目安
40分
見直し周期
当番が近づいたら、前夜に計って一度通し、当日朝にもう一度だけ通す
確認日
次回確認

3分スピーチの支度で最初に決めるのは、話題でも書き出しでもなく、測り方である。3分という枠は思ったより狭く、書き上がった原稿はたいてい溢れる。溢れたときに「速く読む」を選ぶと、練習するほど早口が固まる。この記事は、計る・組む・削る・練習するの順で、3分に収まる原稿と当日の手順を渡す。

3分からの逆算 — 文字数の換算より音読で測る

「3分スピーチは何文字か」から入ると、換算表の数字に原稿を合わせることになる。だが話す速さは、人によっても、マイクの有無や聴衆の人数によっても変わる。換算表の代わりに、自分の60秒を測る。

  1. 手元にあるどんな文章でもよいので、普段人に話すつもりの速さで60秒音読する。
  2. 読めた字数を数え、3倍する。それが自分の3分の器である。
  3. 原稿はその器の九分目までにする。本番は間が増えて、練習どおりの速さにならないことが多い。

この測定は最初の一回だけでよい。以後は原稿を書くたびに、字数ではなく音読のタイムで確かめる。

冒頭・本体・結びの作り方

配分の目安は、冒頭30秒・本体2分・結び30秒である。これは規則ではなく、削るときの守備位置を決めるための整理である。

  • 冒頭は二文。何の話か、そしてなぜこの場の聞き手に関係あるか。
  • 本体は、結論一つに、理由か具体例を二つまで。三つ目を入れたくなったら、それは別の回のネタ帳に移す。
  • 結びは、聞き手に持ち帰ってほしい一文。ここだけは削らない。

条件つきの例を一つ置く。朝礼当番として、3分、同じ部署の約15名に話す場合の冒頭と結びである。例は創作なので、場面が違えば条件のほうを直してから使う。

冒頭「今朝は、先週の展示会で一番驚いたことを話します。準備した資料より、帰り際の雑談のほうが役に立った話です」 結び「来週の商品説明でも、説明のあとの一往復を意識してみます。皆さんの直近の一件でも、試す場面があれば思い出してください」

文化審議会国語分科会の報告は、伝え合いで意識する要素に正確さと分かりやすさを並べて挙げている。3分の枠でこの二つを両立させる現実的な方法が、結論を一つに絞ることである。正確に話そうとして条件や経緯を足すほど、分かりやすさが減る。足したくなった情報は、次の節の基準で削る。

削る基準 — 入らないときに何を残すか

計って超過が出たら、言いたいことを一行ずつ書き出して、結論に効く順に並べ替える。削るのは下からである。たいてい、先に消えてよいものは決まっている。

  1. 前置きと自己弁護(「うまく話せるか分かりませんが」など)
  2. 二つ目以降の具体例
  3. 具体例の中の細部(日付・人数など、結論に効かない数字)

反対に、最後まで残すのは結びの一文、次が結論、その次が一番強い具体例一つである。削った素材は捨てずにメモへ戻す。3分スピーチが定期的に回ってくる職場なら、削った半分がそのまま次回の種になる。

練習1回分の手順

練習は長くやるより、計って一巡するのを一回と数える。

  1. ストップウォッチを回し、つかえても止まらず最後まで通す。
  2. タイムと、引っかかった場所を一つだけメモする。
  3. 直すのはその一箇所だけ。文を短くするか、言いにくい語を言い換える。
  4. 仕上げに冒頭と結びの一文だけ、もう一度声に出す。

これで15分あれば足りる。何日かに分けて回すときの割り付けは発表練習の本番前に譲る。

当日の朝と直前

当日の朝は、計った通しを一回だけ。うまくいかなくても、そこからの書き直しはしない。直前は全文を読み返さず、冒頭と結びの一文だけを目でなぞる。順番が回ってくる間際に見るものが少ないほど、立ち上がりは軽くなる。

声の震えが心配で原稿が頭に入らないという人は、構成ではなく緊張の支度が先である。発表で声が震えるときの対処に分けてあるので、そちらから読んでほしい。緊張は3分では消えない。消えないまま、結びの一文だけ守って戻ってくれば、この支度は成功である。

NOT TONIGHT

この支度でやらないこと

  • 3分に入らない内容を早口で詰め込まない(削って、残したものをゆっくり話す)

BEFORE THE STAGE

本番前の三つの決め

整える計って音読した3分の原稿と、当日直前に見る冒頭・結びの一文が手元にある状態
やらない3分に入らない内容を早口で詰め込まない(削って、残したものをゆっくり話す)
外へ渡す眠れない・食べられないなど生活への支障が続くときは、医療機関への相談を選択肢にする

TONIGHT'S CARD

ソラが今夜やる一つ

原稿を時間を計って音読し、超過ぶんを「二つ目の具体例と前置き」から削る。

SOURCES

出典・確認資料

  1. 「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」について文化庁 · 2026/8/13確認

VISIBLE FAQ

よくある質問

3分スピーチは何文字書けばよいか。

一律の文字数はこの記事では約束しない。話す速さは人と場面で違う。手元の文章を60秒音読して読めた字数を3倍すれば、自分の3分の目安が出る。本番はその量より少し減らし、余白を残しておくと詰め込みにならない。

原稿は全文暗記したほうがよいか。

しなくてよい。全文暗記は一箇所飛ぶと全体が崩れる。声に出して固めるのは冒頭と結びの一文だけにして、本体はキーワードの箇条書きで運ぶ。それでも不安なら原稿を手元に置いて構わない。

ネタが思いつかないときはどうするか。

この記事はネタ集ではなく組み立ての型を渡す記事だが、順番を変えると楽になる。先に結びの一文(聞き手に持ち帰ってほしいこと)を決め、その一文を支える出来事を自分の一週間から一つ選ぶと、本体は自然に埋まる。