HMG-BA-003AISATSU

主賓挨拶の本番前 — 構成と例文

部下の結婚式に主賓として招かれた。祝辞は何度か聞いてきたのに、いざ自分が話す側になると、どこまで砕けてよいのか、何分話すべきかが分からない。

主賓挨拶の本番前 — 構成と例文で本番前にやる準備と、やらないことを分けた図
本番前にやる準備と、やらないことを先に分けるための図です。

楽屋の短答

一週間で仕込む

主賓の挨拶は、祝いの言葉・本人の仕事ぶり・二人への餞の三部で、5分以内に収める。最初の一手は、本人の仕事ぶりを示す場面を一つ選ぶこと。役職や成績の列挙ではなく、働く姿が見えた具体的な一場面が、招待客の代表として話す言葉の芯になる。冒頭と結びは定型で支え、声に出して仕込むのはその二か所だけでよい。

本番前の最初の一手本番の一週間前から、進行表に沿って仕込む内容です。

やらないこと役職・経歴・実績の列挙で本体を埋めない(場面を一つ話す)

たどり着く状態
5分以内の構成が決まり、仕事ぶりの一場面と結びを声に出せる状態
準備の目安
30分
見直し周期
本番の一週間前・前日・当日朝に見直し
確認日
次回確認

主賓とは、招かれた客の中で最も重んじられる立場を指す言葉である。挨拶を頼まれたとき、この「代表として話す」重みが、そのまま原稿の長さに化けやすい。立派に話そうとするほど、経歴の紹介が増え、訓話が伸びる。主賓の挨拶で本番前に決めるべきことは、実は逆で、何を話さないかである。

場面の前提 — 代表として話す条件を先に置く

  • 立場: 新郎側か新婦側か、どの関係の主賓か(上司・恩師など)。
  • 持ち時間: 5分以内を上限に置く。進行から指定があればそちらが優先。
  • 聴衆: 人数と、もう一方の家の招待客がどんな顔ぶれかを想像しておく。自社の内輪にしか通じない言葉を洗い出すためである。

この記事の例文は「新婦の勤務先の部長・持ち時間5分・両家の親族・友人・職場関係者約90名」という条件で書いてある。条件が違えば、直す場所もその分だけ変わる。

構成の3部 — 祝い、仕事ぶり、餞

  1. 名乗りと祝いの言葉(約1分): 新郎新婦と両家への祝い、自分と本人の関係。ここは定型で構わない。
  2. 本人の仕事ぶり(約2分): 芯になる部分。役職や実績の列挙ではなく、働く姿が見えた場面を一つ話す。入社した頃の様子と今の姿を対で見せると、成長の線が自然に描ける。
  3. 二人への餞(約1分): 場面から二人の暮らしへつなぎ、餞の言葉と祝いで結ぶ。人生訓を三つ並べるより、選んだ場面から出てくる一言のほうが届く。

合計4分。間を含めて5分以内に収まる計算である。

例文 — 新婦の上司・5分・約90名の場合

冒頭と結びを載せる。本体の仕事ぶりは、自分が見てきた実際の場面から書く。

冒頭(音読約30秒)

ただいまご紹介いただきました、新婦・千夏さんが勤めております会社で、同じ部署を預かっております◯◯と申します。千夏さん、航平さん、本日は誠におめでとうございます。ご両家の皆さまに、謹んでお祝いを申し上げます。僭越ではございますが、日頃の千夏さんの様子を少しご紹介しながら、お祝いの言葉とさせていただきます。

結び(音読約30秒)

仕事で見せるあの丁寧さで、これからはお二人の毎日を積み重ねていかれることと思います。航平さん、職場での千夏さんは、私たちにとって本当に頼れる存在です。どうぞ末永く、よい家庭をお築きください。お二人のご多幸とご両家のご繁栄をお祈りして、私のご挨拶といたします。

結びの冒頭は、本体で話した場面の言葉を受ける形に差し替える。「あの丁寧さ」の部分に、自分が話した場面の核が入る。

言い換えの分岐 — 関係と進行で直す

  • 恩師として招かれた場合は、仕事ぶりの代わりに学んでいた頃の場面を置く。構成の順番は変えなくてよい。
  • 乾杯の発声を兼ねる場合は、結びの祝いを乾杯の呼びかけへ差し替える。型は乾杯挨拶の本番前の発声部をそのまま継げばよい。
  • 言葉の点検: 「終わる」「別れる」といった別れを連想させる語は、祝いの席では一般に避けられるとされてきた。適用の厳しさは地域や家によって幅があるため、すべてを機械的に言い換えるより、目立つ語を外して文の自然さを保つ。

当日の進行チェック

  • 前日: 時間を計って1回通す。5分を超えたら、場面の枝葉ではなく訓話側を削る。
  • 当日朝: 冒頭の名乗りだけ声に出す。原稿の全文読み返しはしない。
  • 直前: 席次表で両家の名前と本人の名前の読みを最終確認する。名前の読み違いは、どの忌み言葉よりも避けたい間違いである。

登壇の緊張は、役職が上がっても消えない。震えたまま話し切る準備は全社発表の本番前と同じ考え方でよい。

NOT TONIGHT

この支度でやらないこと

  • 役職・経歴・実績の列挙で本体を埋めない(場面を一つ話す)

BEFORE THE STAGE

本番前の三つの決め

整える5分以内の構成が決まり、仕事ぶりの一場面と結びを声に出せる状態
やらない役職・経歴・実績の列挙で本体を埋めない(場面を一つ話す)
外へ渡す眠れない・食べられないなど生活への支障が続くときは、医療機関への相談を選択肢にする

TONIGHT'S CARD

ソラが今夜やる一つ

新郎または新婦の働く姿が見えた場面を一つ選び、いつ・どこで・何をしていたかを三行で書く。

SOURCES

出典・確認資料

  1. 主賓(シュヒン)とは? 意味や使い方 - コトバンクコトバンク(デジタル大辞泉ほか) · 2026/8/13確認
  2. 忌み詞(いみことば)とは? 意味や使い方 - コトバンクコトバンク(精選版 日本国語大辞典ほか) · 2026/8/13確認

VISIBLE FAQ

よくある質問

着席のまま聞いてもらう声かけは必要か。

会場や進行によって扱いが分かれるため、この記事では定型に含めていない。入れるかどうかは司会か式場の担当者に事前に確認し、当日の進行に合わせる。

本人の失敗談を話してもよいか。

主賓は招待客を代表する立場なので、笑いを取るための失敗談は勧めない。仕事の場面を選ぶなら、本人が乗り越えた話として結び、評価を下げる方向の話は避ける。

5分では足りない気がする。

足りないと感じるのは、話したい場面が二つ以上あるときが多い。場面を一つに絞れば5分で収まる。長くするより、選んだ一場面を丁寧に話すほうが、本人にも会場にも残る。